みなさん、廃棄物に関する法律の歴史ってご存じですか?今回は歴史シリーズをお届けします。
みなさん、私のブログを通じて産廃屋さんの仕事、そろそろイメージをご理解いただいた頃かと思います。私の勤務先、廃棄物処理法でがんじがらめの業界です。
所属管轄官庁の許可が必要で参入障壁がかなり高い業界です。
そんな業界に平成27年、激震が走ります。それが、『広域リサイクル法』です。この法律制定の経緯は『廃棄物処理法の歴史(平成編)後編』で記述しました。
従来は産廃を運ぶ、処分(リサイクル)するには所属地の官公庁の許可が必要でした。
しかし、何とこの『広域リサイクル法』により、一部産廃について所属地の『官公庁の首長』(県知事または中核都市の市長)の許可が不要となったのです。
具体的には『家電リサイクル法』など、製造メーカーによる、リユース、マテリアルリサイクルで産廃業界に参入できるようになり、所属地の官公庁の首長の許可ではなく、各業界の『担当省庁の大臣』による認可により、産廃処理法の枠外でリサイクル業務を行う事ができる事になりました。
参照サイト 『環境省:各種リサイクル法の権限に係る国と地方の在り方について』https://www.env.go.jp/council/03recycle/2015/10/21/900417659.pdf (特に3ページ目)
従来の産廃業界にとって正に黒船襲来くらいのインパクトです。
この新しい法律を実際に運営するにあたり、様々な歪みが出てきます。
本来であれば、産廃の適正処理を管理するマニフェスト制度は、
①ゴミを預かる→②ゴミの運搬を完了する→③ゴミを適正に処理・リサイクルする→④ゴミを適正にリサイクル・最終処分を完了させる。
といった流れが7枚複写の書類で管理されていたのが、広域リサイクル法の1つである『家電リサイクル法』では、①ゴミを預かる→②ゴミの広域リサイクル業者への運搬を完了する
といった7枚のマニフェスト中の3枚で完結するといった中途半端な運用がされるようになりました。要約すると、『運ぶ時だけ産廃』で所属地の官公庁の首長の許可、それ以降は所管大臣の許可という不思議なバトンタッチが行われるようになったのです。
経済産業省:家電リサイクル法(家電4品目を使用している事業者向け資料)※現在は家電5品目
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/kaden_recycle/shiryousyu/recycle_office.pdf
私、個人的に不思議なのは、平成12年に『広域リサイクル法』が制定され、それまでの環境庁が権限を経産省など他省に権限譲渡したその翌年、環境庁→『環境省』へ格上げされました。これっていわゆるバーターじゃないんでしょうか?
私の勤務先、産廃リサイクルと広域リサイクルの両方を業務としておりますので、この制度の歪みに日々悩まされております。この歪みの理解を間違えれば、容赦ない罰則を所属地の官公庁の首長、および管轄省庁の大臣の両方から頂くからです。
みなさん、ご同情ください。
ふう、私、今回の大テーマ、『廃棄物処理法の歴史』シリーズを現段階まで書き終わり、少々疲弊いたしました。
ネタ切れから回復したところで次回は『令和編』でお会いしましょう‼
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