みなさん、廃棄物に関する法律の歴史ってご存じですか?今回は歴史シリーズをお届けします。
そもそもそういう法律がある事自体ご存じ無い方が多数派だと思います。
前回では『平成編 前編』を解説しましたが、今回は『平成編 後編』です。
平成2年に豊島事件以降、次の産廃業界の激震は平成11年、『青森・岩手県境事件』が発覚します。
岩手・青森両県警合同の強制捜査により、青森県田子町と岩手県2都市にまたがる27ヘクタールもの広大な土地に、青森県側だけで約115万トンの産廃を三栄化学工業、縣南衛生が不法投棄していた事実が発覚しました。その産廃の多くは、首都圏から運び込まれたものでした。
青森県は、現場下流部の馬淵川水系の環境保全のため、平成16年から平成25年12月にかけて産廃の全量撤去を完了しました。土壌改良による水質回復には令和4年度までかかる予定で、必要経費は約480億円と見込まれます。
豊島事件を超えて国内最大の不法投棄事案として、またしてもその翌年の平成12年に廃棄物処理法のリニューアルが行われます。その内容とは
① マニフェストで最終処分日まで確認義務が発生
② 罰則の強化
③ 多量に産廃を出す事業者の産廃処理計画及び、処理実施状況の報告義務化
詳しくは、下記参照サイト:石川県廃棄物対策課『産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務の取扱いについて(通知)』
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/haitai/sanpai/documents/060904kyokajimu_1.pdf
をご確認ください。個人的にはわざわざ読む方はいないと思うくらい長文です。
そして、同年、各種リサイクル法の制定(広域リサイクル法の導入)が行われます。広域リサイクル法については、『廃棄物処理法の歴史(広域リサイクル法編)』で後日取り扱います。
はっきり言えば、不法投棄事件続きで不甲斐ない環境庁(現 環境省)は経産省を始めとしたその他中央官庁に廃棄物に関する既得権益を取り上げられた形です。
今まで環境庁の廃棄物処理法で管理されていた一部の廃棄物がその他中央省庁の広域リサイクル制度下におかれたのです。
環境省:各種リサイクル法の権限に係る 国と地方の在り方について
https://www.env.go.jp/council/03recycle/2015/10/21/900417659.pdf (特に3ページ目)
そして、何故かその翌年、平成13年に環境庁は環境省に昇格します。
私、個人的には広域リサイクル法の権限譲渡とのバーターだと思っております。
ここまで順調に『省』に格上げされた環境省を更なる大規模不法時事件が襲います。
それが、平成16年に発覚した『岐阜市椿洞・善商不法投棄事件』です。
岐阜市によると、現場に埋められていたのは、建築廃材や土砂など計約124万立方メートル。市が産廃特措法に基づき5年かけて撤去した産廃に加え、業者(善商)の自主撤去なども含めて計約50万立方メートルを撤去したものの、残る約74万立方メートルは土砂やコンクリートがらが大半で、2次環境汚染を発生させる恐れがないため、不法投棄現場の整地まで終了した時点の平成25年3月21日、岐阜市が終息を宣言しました。
岐阜市:産業廃棄物不法投棄事案
https://www.city.gifu.lg.jp/info/seisaku/1006799/index.html
そして、この事件を受け、発覚の2年後、産業廃棄物処理法に更なるリニューアルが加えられます。それは、廃棄物データシート(WDS)の導入です。
その内容は一言で説明すると、『産廃を捨てる時は、どういう事情で、どんな性状のゴミかをゴミを捨てる人は、産廃業者に書面で説明しましょうね‼』という事です。
環境省:廃棄物データシート(WDS)
https://www.env.go.jp/content/900534399.pdf
そして平成28年1月まだ記憶に新しい、ダイコー食品廃棄物の不正転売事件が発覚します。
環境省:『食品廃棄物の不正転売事案について(総括)』
この片付け、私も勤務先の担当者として後片付けに参加した当事者の1人です。当時の詳し状況は、過去の記事、『冷凍カツ事件とは前後編』に紹介していますのでご覧ください。
どうですか、産廃業界の法律がんじがらめ具合、凄くないですか?
許可業でない業界のみなさん、ぜひご同情ください。
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