世界のリサイクル拠点だった中国とそのビジネスモデル変更の理由

産廃営業

中国は1980年代以降、日本や欧米などの国からプラスチックや古紙、雑多金属などの資源ごみを大量に輸入し、中国国内で安い人件費を背景にした人海戦術で分別・加工して、再資源化してきました。ここで言う資源ごみとは中国から見た場合、有価物(お金を払って購入できるレベルの物)の事です。ただし、内容は玉石混交でゴミも混じった状態でトータルで有価物になる程度のレベル感です。

中国から見た有価物に限定される理由は、国際条約として、廃棄物の輸出を禁じるバーゼル条約という物があるためです。正直、その時点でバーゼル条約上はかなりグレーなビジネスモデルです。

中国国内で、価値のある物を人海戦術で人手をかけて抜き取ったあと、残るゴミは日本国内のように適正に処理されているとは言えない状況でこのビジネスモデルは横行していました。

それが、2018年1月より中国政府は環境問題の増加を理由に、プラスチックや古紙、雑多金属などの資源ごみの輸入禁止措置を取りました。表向きには環境問題を理由にしていますが、実際には、中国国内の人件費高騰により、ビジネスモデルとして成立しなくなったからというのが本音です。当時、統計上は国内で約900万トンの廃プラスチックが発生し、その内約130万トンが中国に輸出されていました。その130万トンが国内に帰って来ると、

廃プラスチックの発生量が国内の処理能力を約2割弱上回る事となり、国内では廃プラスチックのダブつきが起こりました。供給過多のこの状況で、最終処分場がまず大幅値上げを表明し、それに追随する形で中間処理場が同じく値上げをします。その値上げは製造メーカーに転嫁され、製品にさらに転嫁されました。

当時、今まで企業からいかに頭を下げてゴミを集めるかが仕事だった産廃営業の仕事は自社処理能力を超えて処理依頼が来る産廃をいかに断るかが仕事にシフトする、いわゆるバブル状態でした。このバブル状態は、2020年のコロナ禍による製造業の減産まで続くこととなります。

2020年のコロナ禍を境に、今まで産廃市場に溢れていたゴミが、経済停滞で一瞬で市場から消える事になるとは、この時点で誰も予想していませんでした。

ゴミが日本国内で溢れた原因が中国で、産廃業界の景気を奈落の底に叩き落とした新型コロナの発生源も中国という何とも皮肉な話です。

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