みなさん、食品について価格が安い以外の価値って思い当たりますか?
例えば、①美味しい、②料理が簡単、③インスタ映えする、④長持ちする、何てものがあると思うのではないでしょうか?その中に、⑤環境持続性が高い という事に価値観を感じる方はいらっしゃいますでしょうか?近い感覚の方は外国産より国産を優先して購入する方でしょう。
今シリーズはその食品の環境持続性に関するものです。『水産エコラベル』ってご存じですか?最近になってスーパーの鮮魚コーナーにこのラベルが貼られた製品が並ぶようになりましたが、ラベルとその意味が一致している方はまだまだ少数派だと思います。
今シリーズでは水産エコラベル発足の成り行きと国際利権について解説させて頂きます。
今シリーズの最重要な出展は下記です。
水産庁:『水産エコラベルをめぐる状況について』令和4年4月
https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/budget/attach/pdf/suishin-2.pdf
端的に書かれた、行政官様の無駄の無いお役所文書、行間から様々なニュアンスが読み解けます。今シリーズでは、行間のニュアンスをお楽しみください。
私、産廃リサイクル企業に勤めておりますので、第三者機関認証サービスというと、ISO14000は非常に身近です。今回の『水産エコラベル』は水産業界のISO14000のようなものです。
水産エコラベルとは、①漁業・養殖【生産段階】→②流通加工(卸売、加工・流通、小売・外食)【流通加工段階】→消費者の流れが、認証品と否認商品が明確に区別される事が求められます。
このラベル発足の直接的背景は17年前の1995年にさかのぼります。この年、FAO(国連食糧農業機関)総会で『責任ある漁業のための行動規範』が採択されたところから始まります。
この時点で、環境と調和した持続的な水産資源の利用や生態系への保全に関する理念・基本原則が提示されました。主要項目としては下記の通りです。
・乱獲・過剰漁獲能力の防止、科学的根拠に基づく管理
・漁業資源の持続的利用のための措置の採択、協力関係国形成、データ収集
・各国の操業許可等の記録、適切な漁具・漁法の利用
・養殖の適才な餌料、添加物、薬品使用、遺伝的多様性の保全
・貿易・漁獲魚処理(資源の保存・管理措置への合致)
この流れを受け、1997年に海洋国家イギリスがMSC(海洋管理協議会)を設立し、第三者機関認証を旗揚げし、この分野の開拓者となります。
さらに2005年、FAO水産委員会で『海洋魚介からの魚介物と水産物のエコラベルのためのガイドライン』が採択されます。(2009年改訂)
この流れを受け、下記認証機関が立ち上がります。
・2007年 MEL(マリン・エコラベル・ジャパン) 日本
・2010年 ASC(水産養殖管理協議会) オランダ
この時点で、さすが我が海洋国家 日本、トップの海洋国家イギリスと10年差をつけられたとはいえ、世界2位の速さで海産品の第三者認証をスタートしました。
ところが、2013年2月にGSSI(Global Sustainable Seafood Initiative)【持続可能な水産物の普及を政府・政府間組織、水産関連企業、NGO、専門家による地球規模の戦略的連合組織】が設立されて以降、水産資源国各国にゴボウ抜きされます。この国際組織、仕掛け人はドイツ政府です。『ドイツの出資により設立されたドイツ国際協力公社(GIZ)と国際民会水産企業17社及びNPO法人3者により設立された』と出典(水産エコラベルをめぐる状況について)の欄外にさらっと記載があります。この手のお役所文書で、重要な真実は本文ではなく欄外に書かれる事が多いです。
要は、ドイツがイギリス主導の水産エコラベル利権を奪いにかかったという事です。
さて水産エコラベル利権とは何なのか?次回を乞うご期待‼。
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