みなさん、恒例となった『環境問題オススメ本』シリーズを発信します‼
本シリーズでは私が今まで影響を受けた環境問題を題材にした書籍を紹介して行きます。
第7回は『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』著:武田 邦彦(日本 2007年刊行)です。
本作品、刊行当時、道徳としてのエコロジストからはセンセーショナルを巻き起こした作品です。環境産業の一翼を担う産廃リサイクル企業に勤める私としては、中々にコメントしにくい部類の本ですが、避けては通れないので取り上げます。
内容としては、
・ペットボトルをリサイクルする事で、資源を7倍消費している。
・日本はリサイクルの優等生だというのはウソである。また、ドイツも環境先進国とは言えない。
・本当はごみを分けても資源にならない
・スーパーの袋だけが目の敵にされるのは間違い。むしろ、自動車の量を削減する方が各段に環境にやさしく本質的。
・ダイオキシン猛毒説は意図的に仕立て上げられた。
・地球温暖化に対して、故意の誤報が頻発している。
・古紙リサイクルの『民から官』への利権取り上げ問題。
・環境問題を弄ぶ人たち。
業界の最前線に立つ1人としての感想です。当時の状況下において、基本的におっしゃる通りです。
この本には私、特別な思い入れがあります。私、工学部エコロジー工学科を卒業し、環境問題についての意識は高い方でした。ただし、この時点では道徳的観点での環境問題です。
そして、15年前に現在の産廃リサイクル会社に転職しました。その年に刊行されたのが本書籍です。当時、プラスチック、古紙、金属の世界のリサイクル拠点は中国でした。過去記事でも取り上げましたが、結果、中国のリサイクルビジネスモデルは人件費高騰により崩壊します。崩壊以前から、環境意識の低い国に玉石混交のギリギリ有価物品(ゴミが相当混じっているという意味)を輸出するバーゼル条約逃れのシステムには無理があったのです。
そして、私の勤務先、産廃複合処理施設ですが、焼却炉が最大の処理能力がある施設のため、ダイオキシンについては法規制上の管理が徹底されています。当然、その発生量は基準値以内ではありますが、ゼロではありません。そんな環境下で勤務するスタッフの子供たちにベトナム枯葉薬剤問題のような奇形児はいません。そして、化学物質で農薬の問合せも有りますが、本書籍で記載されているように昔の農薬にはダイオキシンを使用している物は珍しくありません。それでも、国内でそれが原因での奇形児多発の事実はありません。
地球温暖化問題でを理由に、焼却処分が世間的には批判された時期がありますが、私の過去記事にあるように、生ごみを含む廃棄物を夢の島にそのまま埋立た結果、壮大な焦土作戦が実行された過去があります。現在の焼却処分とは、環境衛生保持のために必要な手段です。
また、40代半ばの私は、古紙回収業者が軽トラックで『チリ紙、トイレットペーパーに交換しますよ』とスピーカーで宣伝しなが回収していた記憶があります。経済的に成立していたこのビジネスに、リサイクル促進の名目で官公庁が資源ごみに古紙を組み込んだ結果、古紙の値段は暴落し、回収費用まで賄えなくなった結果、古紙回収業者の大抵は廃業し、持込のみ受入れの古紙業者のみ生き残りました。
そして、最終章の『環境問題を弄ぶ人たち』では、温室効果ガスの発生源の代表として石油がやり玉にあげられているが、いかに私たちの生活基盤が石油によって支えられているか。石油消費を削減する事は生活の質を低下させる事を意味するが、それだけの覚悟が国民にあるのか?世界の農業は石油により支えられているが、そもそも価格の安さだけで海外産農作物に圧迫された結果、余計な輸入による燃料消費を産み、さらに食料自給率の悪化に拍車をかけている現状に反省はないのか?
といった私にとって耳の痛い問題提起がされています。
ぜひご一読ください。
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