前回の終盤に紹介したGSSI、水産庁 参考資料「2章世界の状況」で、2013年2月設立とドイツ政府出資のGIZが母体であると説明され、突然現れます。2021年5月末時点で約90社が参加し、うち、2022年4月段階で水産庁の李資料では代表的な日本企業は5社です。ところが、この回のトップ画像を見ていただくと、日本企業は3社しか表記されていません。
このトップ画像の掲載元は下記の通りです。
GSSI:グローバルパートナーマップ日本版:
https://www.ourgssi.org/wp-content/uploads/2019/04/JP-PartnerMap-web-R8-3jul18.pdf
そうなんです。本家、GSSIのHPより昨夜検索した日本語版のものがコレです。
このマップに載っているのは、イオングループ、ニッスイ、シーフードレガシー。載っていないのはCOOP、CGCグループです。日本企業、GSSIからはかなり雑な扱いを受けていると言わざるを得ませんね。ページトップの世界地図も見慣れた日本中心の物ではなく、ヨーロッパ中心のものです。
そして、このGSSI、水産エコラベルにも口をはさむようになります。従来の
・1997年 MSC(海洋管理協議会)イギリス
・2007年 MEL(マリン・エコラベル・ジャパン) 日本
・2010年 ASC(水産養殖管理協議会) オランダ
は、あくまでも各組織の個別認証に対し、GSSIが水産エコラベル認証機関を選定するようになりました。そして、GSSIから認証された漁業・養殖業の認証機関の順番は、下記の通りです。
① Alaska RFM(アメリカ・漁業) 2016.7
② IRF(アイスランド・漁業) 2016.10
③ MSC(イギリス・漁業) 2017.3
④ BAP(アメリカ・養殖) 2017.10
⑤ GLOBALG.A.P(ドイツ・養殖) 2018.4
⑥ ASC(オランダ・養殖) 2018.9
⑦ G.U.L.F(アメリカ・漁業) 2018.10
⑧ CQA(アイルランド・養殖) 2019.2
⑨ MEL(日本・漁業、養殖) 2019.12
と、当初、世界初の認証を受けたイギリスのMSCは世界3位に転落し、第2位だった日本は9位に沈みます。まあ、日本のMELについて穏便な見方をすれば、認証が①漁業、②養殖と2分別されたルールに対し、両方とも同認証機関で同時に取得にかかったため認証が遅れたという見方も出来ない事はありませんが、不自然さは残りますよね。日本以前にアジア圏の認証機関が無いのはなぜでしょうね。しかも、現在のマップにはしっかりパートナーとしてアジア圏の他国が載っているのに、日本の2社は載っていない・・・。
この水産エコラベル、認証取得の相場は1社あたり、おおよそ1,000万円前後です。第三者認証サービスって実は大きな市場で、認証機関は正しい判断をしてくれる正義の味方ではなく、認証の権威を売ってくれるサービス業者なんです。GSSIは配下の認証機関に、『認証を与える権威を売るという胴元』でもあります。これが今回の騒動となった国際利権の正体です。
さらに、欧米の大手小売業者がGSSI承認された水産エコラベル認証の取得を取引の前提にした企業が現れます。【メトロ(独・2016より)、ウォルマート(米・2017より)】
水産エコラベルが無いと、大手海外企業と取引出来ない時代の到来です。
さらに2016年から発効されたSDGsの中の『目標14海の豊かさを守ろう』に持続可能な開発のための、海洋資源の保全・持続可能利用の組入れられます。
経済・倫理の両面から外堀を完全に埋められては海産メーカーはGSSIに従わざるを得ません。
水産エコラベル利権の完成です。
そんな中、いよいよ我が日本政府も本格的に水産エコラベル認証問題の解決に動き出します。
次回を乞うご期待‼
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